★作品について 数年前から継続して制作しているemonシリーズの一枚です。 emonとは、「絵紋」で、絵を連ねて紋様化する試みです。具体的には、一つの絵の横に、同じ絵を描き、さらに同じ絵を描き……というふうにして、画面が埋まるまでこれを続けます。ただ、同じ絵といっても、手描きなのでいろんな点が違ってきます。作者としては、その微妙な違いなんかも味わって楽しんでもらえれば……と思って描いてます。 対象となる「絵」はなんでもかまわないのですが、今読んでる本や聴いてるCD、身の回りの品々から印刷物の一部、さらには夢の中のイメージなどさまざまです。 この作品で対象にしたのは、「officium」（オフィチウム）という古楽のCDです。発売されてから、もう20年になるでしょうか……この分野では異例のヒット作品になってるみたいですが……元になってる音楽は、モラーレスやデュファイといった、バロック期以前の作曲家の合唱曲で、それを古楽合唱のヒリヤード・アンサンブルが忠実に歌い、そこにノルウェーのジャズサックス奏者、ヤン・ガルバレクが自由に即興演奏を重ねていくというスタイル。それがまた、元々そのようにつくられた曲としか思えないほどしっくりと合っている。聴いていると、静かな雨にうたれた大聖堂の風情が……アルバムジャケットの写真がまたよくて、これは天使の顔なんでしょうか、孤独の中にも清冽な、そして真摯なたたずまい……emonなので、同じ天使の顔を何枚も描くわけですが、描くたびに顔がちがってきて、なかなかこれだ！というのができない……emon化においては、顔は難しいなあと思いました。★素材とサイズ 素材は、30cm角の木製パネル（厚さ2cm）に紙を水張りして、黒いペン（コピック）で描いています。 ★備考 一点しか制作できないアート作品です。